−20日目(9/12)−

 20日目は、最終日である。この日は中標津空港から飛行機で札幌丘珠空港へ向かい、そこからは寝台特急「トワイライトエクスプレス」大阪へ向かうという行程である。「トワイライトエクスプレス」は、ロイヤルとツインの2つ(3人分)の個室を取ることができた。実はこの切符、日本旅行やJTB、京王観光などに片っ端から注文したのだが、軒並み切符は取れず、唯一取れたのが京王観光であった。聖蹟桜ヶ丘店で「ロイヤル」が、高幡不動店で「ツイン」を取ることができた。3人分も取れてしまったのだが、払い戻すのはもったいない。というわけで鉄研のメンバーに話を持ちかけ、苦労して3人集めることに成功した


 そんなわけで、私は旅館の朝食をゆっくり食べたあと、空港連絡バスで中標津空港へ向かった。かなり小さな空港だった。一日の発着便数はそれぞれ5本ずつの中小空港であり、ロビーも小ぢんまりとしていた。乗る飛行機は、現在北海道内の各航空路線で最後の活躍を続ける、エアーニッポンのプロペラ機「YS-11」である。


この日、丘珠行きの当便はなんと満席であった。スゴイ。そして9:50に轟音を響かせながら離陸、空中に上がった。プロペラ機であるため高度は低く、眺めは非常に良い。根釧台地を一望でき、阿寒湖や摩周湖も良く見えた。素晴らしい景色だ。ただ、乗り心地は劣悪である。ガタガタ揺れて気分は悪い。とくに着陸前になったらその傾向はひどくなり、旋回を繰り返すうちに頭が痛くなってくる。どうも苦手だ。


 ともあれ、札幌丘珠空港に着陸、1:10のフライトは終わった。中標津からこんな短時間で着けるなんて、やっぱ飛行機はすごい!その後は連絡バスで、札幌駅へ向かう。札幌駅到着後は鉄研のメンバーと合流し、その後少しだけ札幌の街を観光したあと、札幌駅へ戻った。


 これから乗る「トワイライトエクスプレス」の上りは、日本最長の運転時間を誇る列車である。14:01に札幌駅5番ホームに入線したあと、14:12に発車、私は自分の個室である「ロイヤル」に行った。めちゃめちゃ広い。トイレとシャワーも完備されており、居住性は最高だ。ベッドは可動式で、セットするとダブルベッド並の幅の広さになる。まもなく検札が来て、設備の説明等を受けたあと、メンバー全員が私の部屋に集まった。なにしろ広いので、3人でも十分居住スペースがある。 札幌発車後は、のんびりと千歳・室蘭本線を走っていく。そのうち車内販売が各部屋を訪問し、サービスドリンクの注文を取りに来る。いくつかのメニューがあったが、私はウィスキーを注文した。その他、いくつかの記念グッズを購入した。


 しばらく部屋でくつろいでいたが、17時前に食堂車「ダイナープレヤデス」からの車内放送が入った。一回目のディナーのご案内であった。私達はフランス料理の券を持っており、食堂車へ向かう。「トワイライトエクスプレス」の食堂車は、489系電車のものからの改造であり、24系客車の他車両とは断面が違う。そのため天井が低く、窓も小さくて変な感じである。だが、車内は豪華に飾り付けられている。


 そんな中、ディナーがスタート。17:00から一時間である。私は、寝台特急の食堂車は春の「北斗星」以来2度目である。まわりは年配のグループや夫婦ばかりで、学生の私達はハッキリ言ってかなり浮いていた。だが、関係ない。尋常じゃないほどの量のパンとバターをおかわりし、食べた。食事中、車窓左手には美しい噴火湾の景色が見えた。この「トワイライトエクスプレス」は、駒ヶ岳の海側を走るルートを通る。そのためずっと海の景色を見ることができる。食べ終わる頃には日も沈み、辺りは闇に包まれるが、大沼を過ぎたあたりで、わずかではあるが車内から函館の夜景を見ることができたのは特筆できる。


 食後は、部屋に戻って一服。列車は五稜郭に停車し、機関車の交換を行う。かなり停車するが、ドアは開かない。その後列車は江差線に入り、青函トンネルを目指す。さて、間もなく青函トンネルにさしかかろうと言うとき、私達はサロンカーへ移動した。車掌による青函トンネル案内の企画があるからである。木古内から海峡線に入った頃から案内が始まり、青函トンネルの歴史や、その他トンネルにまつわる様々な話を聞くことができた。そしてあっという間に時間が過ぎ、気が着いたら本州に上陸していた。こんなに早く時間が過ぎたのは初めてである。


 その後列車は青森に運転停車。通常客扱いはしないのだが、車掌交代のために私の乗っている1号車のみドアが開き、降りることも許可された。実際かなり停車する訳であるし、客扱いしてもいいのではないかと思った。


 青森で乗務員が入れ替わり、その後は日本海縦貫線に入って大阪を目指す。時間も遅くなってきたことから我々も寝ることにし、それぞれ自分の部屋に戻った。部屋で一服したあと、食堂からカクテルを注文して飲んだ。ただ、ワイングラス1杯で1,000円である。めちゃめちゃ高い。その後は部屋でシャワーを浴び、寝台をセットして横になるが、単線の奥羽・羽越本線区間は駅に差し掛かるたびにポイント通過のために揺れ、寝心地はあまり良く、夜中に何度か目がさめた。



 起きたのは、朝7時前。魚津付近であった。起床と同時に、予約していた朝食があるため、食堂車へ向かった。個室のドアを開けると、新聞が置いてあった。A寝台はサービスとなるようである。そこでメンバーと合流し、食事を始める。私達は和食を予約したのだが、自分にとっては連日の旅館食でさすがに和食は飽きていた。それに旅館の本場料理の味には勝てず、洋食にしておけばよかったと後悔する。しかしご飯は食べ放題、二回もおひつをおかわりした。


 朝食後は部屋で過ごす。やはりプライベートの保てる個室のほうがサロンカー等よりいい。「トワイライトエクスプレス」では、駅に到着するたびに車掌が沿線の街の由来や観光名所について説明してくれる。列車はひたすら北陸本線を南下し、私の地元の福井も通って大阪を目指す。敦賀での機関車交換は無く、すぐの発車。私は部屋のシャワーの残り時間がまだ余っていたため(所定で25分)、湖西線に入った頃にもう一度浴びて使い切った。


 湖西線をひた走ったのち、列車は京都に到着。ここから先は大阪へ向けて東海道本線をラストスパートである。そして12:43に終点の大阪に到着、札幌発車から22時間31分かけた日本最長距離列車の旅は終わった。
 この後、私は京都で2日間遊んだあと、15日の「のぞみ」で東京へ戻った。



※おわりに

 これで、20泊の全行程が終了したわけである。この一連の旅行で、日本における鉄道の魅力を存分に味わうことができた。また各地域の鉄道に乗り、さまざまな街を歩き、それぞれの文化と触れることができた。これは私自身の中でとても大きなものになったと思うし、今しかすることのできない貴重な経験をできたと思う。まさに、もうやり残したことはないといった感じだ。


 最後になったが、この旅行を遂行するにあたり、複雑な切符の発券を行って頂いた、当会OBの日本旅行の横山さんには、この場を借りて感謝の意を表明したい。また、今後日本の鉄道がますます活気に満ち、魅力あるものになっていくことを祈りつつ、Microsoft Wordを閉じることにする。