−18日目(9/10)−

 18日目は、横断達成の日である。旅館で早めの朝食を取ったあと、知床斜里から釧網本線で釧路へ向かった。気温は低いものの外は快晴で、窓を開けるとかなり心地良い。だが駅に停車するごとに乗客は増え、釧路湿原に差し掛かるころは大混雑になっていた。よくぞこんなに利用者がいるものだ。湿原の景色をゆっくり楽しむ間も無く、10:00に終点釧路に到着した。


 釧路からは快速「ノサップ」根室行きに乗り込んだ。ただ、この列車では根室まで乗らず、途中の厚岸で下車した。降りてみたかったからだ。次の列車まで2時間あり、その間ゆっくりと散策した。ただやっぱ2時間という時間は長く、途中からは駅横の図書館で読書していた。


 その後私は14:01の普通列車で再び根室へ向けて出発した。根釧台地を走る花咲線はやはり景色がバツグンに良い。車窓右手には太平洋が見え、断崖絶壁で海に切り出している半島の姿も見える。素晴らしい景色に、カメラを構える乗客も多く見受けられた。
 そしてひたすら東へ東へと向かってきたこの旅も、もうすぐ終点。日本最東端の駅である東根室を出たあと、15:25に終点の根室に到着した。ついに日本横断達成である!佐世保からはるばる18日間かけてやってきた長い道のりを考える。九州や中国地方にいたのがもう遥か遠い昔のようだ。とまぁ感慨にふけってしまう。



 だが、旅は一応まだ終わらない。日本横断達成のあとは、少しだけ道東地方の観光をすることにしており、2泊1日で野付半島に行ってみることにした。ここではその内容も軽く触れておく。という訳で、私は根室駅前バスターミナルから出ている中標津空港行きのバスに乗り込んだ。


 北海道の道は良く、延々と直線が続く。走る車も少なく、アップダウンを繰り返す景色のスケールもスゴイ。途中厚床駅を経由し、その後バスは内陸部へ向けて走り、国鉄末期に廃止になった標津線のルートをたどる。広大な台地の中を延々と走り、17:30に中標津バスターミナルに到着した。


 私はここで今度は標津バスターミナル行きのバスに乗り換える。しばらく走って中標津の市街地を抜けると、バスは荒野に出てひたすら一本道を走る。果てしなく直線が続き、まるで滑走路のようだ。すごいすごい。バスはスピードが遅いため、ときおり後ろから来た車が猛スピードで追い抜いていく。ただ辺りの日は暮れ始め、だんだんと闇に包まれていく。


 標津バスターミナルに到着した頃は、真っ暗だった。東だから日没が早い。バスを降りると、あまりの寒さにビビった。長袖Tシャツを紛失してしまった私は、あまりの寒さで体が凍りそうだ。つい一週間前、高山で燃えそうだったのがウソのようだ。仕方がないので、換えのシャツを片っ端から着込んで寒さをしのいだ。


 標津からは、白鳥台行きのバスに乗り継いだ。このバスは自由乗降が許可されており、バス停以外の所でも乗降できる。本日宿泊する「尾岱沼温泉シーサイドホテル」の看板が見えたところでボタンを押し、バスを降りた。


 尾岱沼(おだいとう)温泉シーサイドホテルは、かなり豪華なホテルだった。食事には蟹が丸ごと出てきて、その他も珍品の海産物が並んでいた。温泉もあり、露天風呂はすぐ下が海で、根室海峡が一望できる。9月なのに凍てつくような外気に対し温泉は暖かく、まさに極楽気分だ。部屋も和室で広く、居住性は良い。


また来たくなる旅館だったが、あえて難を言うとすれば、交通の不便であろうか。標津・別海方面からのバスがそれぞれ一日3本だけという少なさである。