−12日目(9/4)−

 12日目は、特急「スーパーひたち」でいわきを出発する。ときおり美しい太平洋の景色が見えるのだが、早起きの疲れもあって私はまたもや爆睡モード、終点の仙台まで熟睡してしまった。
 仙台からは仙石線に乗り継ぐ。103系4両編成の快速「うみかぜ」は、仙石線用の地下ホームから発車した。平日にもかかわらず行楽客で賑わっており、ロングシートの車内はけっこう混んでいる。列車は東北本線と絡みながら進み、間もなく松島海岸に到着した。私はここで下車する。この駅、松島観光の最寄駅なのだが、東北本線には駅がないのが不思議である。
 改札を出ると、客の大半は観光船乗り場の方へ向かった。ただ私は空腹の絶頂を迎えており、本日初の食事をとるべく駅前の古い食堂に入った。客は誰もおらず、私が入るなり刺身が美味いと勧めてきたので、牛タン定食と刺身を注文した。かなり美味かった。そのうち列車の発車時刻になり、松島をあとにする。ロクに観光もしていないのだが、あまり興味も無い。
 松島海岸からは普通列車で石巻へ向かう。変わった地形の中を進むうち、終点の石巻の頭端式ホームに到着した。
 石巻では、石巻線小牛田方面に乗り換える。単行のキハ47型ディーゼルカーであった。発車後20分ほどで列車は気仙沼線の分岐駅である前谷地に到着、すぐの接続で気仙沼線に乗り換えた。気仙沼線は、三江線と並んで私の最も好きな路線の一つである。やはり中間区間は昭和50年に開通した公団新線であり、線路規格はバツグンに良い。新幹線みたいである。柳津から爆走を十分楽しんだあと本吉からは列車は鈍足に戻り、終点気仙沼の2駅手前である南気仙沼で私は下車した。下車印欲しさの下車である。
 南気仙沼から気仙沼までは歩いても行けるのだが、この区間気仙沼線は直線距離の3倍ほど遠回りをする。直線で敷けば良かったものを、わざわざ線路をΩ型に曲げて180℃回転させて建設したのは理解に苦しむ。
 次の列車で気仙沼に到着した私は、すぐの接続で大船渡線一ノ関方面に乗り換えた。通称ドラゴンレールの大船渡線は政治路線として知られている。千厩摺沢の両方に線路を通そうとしたため、なべづる型の線形になってしまったのである。その千厩では尋常ではない量の高校生が乗り込んできて、私は吐き気をもよおす。そして千厩を発車すると、それまで西へ向かっていった列車は急に大きな右カーブを切って北へ向かいだす。そしてひたすら走ること10分、摺沢に到着した。だがここで高校生の大半が降りてしまったのには驚きである。だが同じくらいの量の乗車もあり、車内は再び高校生ですし詰めになる。
 摺沢を出た列車は左カーブを切って西に向きを変え、しばらく進む。そして柴宿を出るとまた左カーブを切り、今度は南へ進路を変える。この路線は、進むにつれ太陽の位置がめまぐるしく変わり、面白い。そして夕方の17:20、終点の一ノ関に到着した。一ノ関では金をおろすために銀行を探したのだが、あるのは消費者金融ばかりで、10分ほど歩き回ったあげく、ようやく岩手銀行が見つかるという始末だった。三井住友は無いが、仕方ない。
 一ノ関からは、東北本線下りの普通列車に乗った。本日の宿泊予定地は北上なのだが、時間的にまだ早い。ということで、水沢で途中下車してみることにした。沢もそれなりの街であった。そして私は商店街にあったミスタードーナツで、本日二度目の食事をとった。
 最後は水沢から北上までラストスパート。そして北上では、駅から1分の本日宿泊する「北上南部ホテル」に向かった。