−10日目(9/2)−

 10日目は温泉で朝食を食べ、気分良好の旅立ちである。そしてまずは特急「しらさぎ」のパノラマグリーン車から行程が始まる。やはり先頭から見る景色は最高だ。面白いように駅を通過しつつ列車は進んで行く。この「しらさぎ」にも来年度中に新型車量投入が決まっており、このパノラマグリーン車にはもう乗れなくなるかもしれない。


 私は金沢で下車し、特急「北越」に乗り換える。485系3000番台であった。金沢発車後、石動を過ぎると車窓に建設中の北陸新幹線の高架が見えてくる。もうかなりの部分が完成している。ただ、ここまで伸びてくるのにはまだまだ時間がかかりそうだ。
 富山からは高山本線に入る。折しもこの日はちょうど越中おわら盆であり、越中八尾行きの臨時列車がひっきりなしに運転されていた。キハ120の4両編成のほか、高岡鉄道部の車両が応援に駆けつけており、私が乗り込んだのもキハ58による4両編成であった。高岡色と七尾色の混結編成だった。


 越中八尾は昼間なのにお祭りムードで、駅前の通りには数百メートルにわたって出店が軒を連ねている。これはスゴイ!ただ、まだ準備中の店がほとんどだった。祭りを楽しみたいところだが、今回は我慢して行程を進めることにする。越中八尾からは名古屋行きの特急「ひだ」に乗った。先頭車の自由席の、しかも最前列に座ることができたのだが、睡魔に襲われて爆睡モードに入ってしまった。


 気付いたら、列車は飛騨古川に停車中であった。ヤバイ!大急ぎで降りる。間に合った。飛騨古川は、駅前が工事中で雑然としている。駅前を散策したが、あまりの暑さに3分でくたばった。そして駅に戻り、飛騨古川始発の高山行き普通列車で高山に向かった。
 高山も相変わらずものすごい猛暑であり、歩くだけで体力が削り取られる。日なたに出たら、サングラスをしないとまともに顔を上げられず、体もマジで燃えそうになる。こんな暑さはいまだかつて味わったことが無いと言うほどである。そのため高山の町並みを楽しむこともできず、かといって駅に戻っても人間でごったがえしていて待合室は満室。ハッキリ言っていい思い出はない。高山からは、岐阜行きの普通列車に乗り込んだ。車内は冷房が効いており、救われる。私は先日の合宿の二次会の残りであるつまみを食べつつ、高山本線を南下した。そして有名温泉地である下呂で下車した。


 下呂は盆地であるためかもうすでに日は山にさえぎられており、いくぶん涼しい。そのため散策することにした。ただひとつ、この下呂駅はなぜかひらけた温泉街とは逆の方向に駅がある。そのため線路を越えないと温泉街へ行けない。なぜこんな形になったのが理解に苦しむ。そして川を渡って温泉街を歩く。ただ温泉に入るほどの時間は無かった。残念無念。橋のたもとに、温泉の湧き出る泉があるが、あまりに熱いのにビビった。80℃ぐらいあるだろうか。


 下呂からは再び普通列車で岐阜へ向かう。もう日も暮れており、辺りは闇でつまらない。美濃太田で下車印を貰い、21:42に岐阜に到着した。岐阜では、本日二度目の食事となるモスバーガーを食べた。よく一日つまみだけで過ごしたものだ。その後は区間快速で名古屋へ向かった。


 名古屋ではかなり時間があり、特にすることも無いので、飲んだ。昨日の宴会の余りの酒のほか、キヨスクで購入したチューハイも飲んだ。たった2本だけなのに、酔いがまわるのが異常に速い。旅先ではいつもこうだ。頭の中が回り始め、フラフラになる。しかしこれが実に心地良い。私は23:56、久々の夜行である急行「ちくま」に乗り込み、長野へ向かった。座席に着くやいなや、ブッ倒れて眠りに堕ちた。